家を建てるときには建築基準法によるさまざまな制限をクリアする必要があります。
建ぺい率・容積率もその一つで、家の大きさを決める際に忘れてはならない制限です。
今回はこの建ぺい率・容積率について、その意味や上限・計算式を解説。
建ぺい率・容積率が緩和されるケースなどもお伝えしますので、これから新築を検討される方はぜひ知っておいてくださいね。
目次
建ぺい率と容積率とは
建ぺい率と容積率は、敷地面積に対して建てられる建物の大きさの制限で、建築基準法で規定されています。
例えば「できるだけ大きな家にしたい!」と、敷地面積いっぱい、境界ギリギリまでに建物を建てると、隣地との風通しや日当たり、防災に悪影響があり望ましくありません。
日当たりや風通しなどを確保し、火災時の延焼を防ぐなど防災のためにも、敷地内にある程度のゆとりを持たせる必要があるのです。
建ぺい率、容積率についてそれぞれ詳しくご紹介しますね。
建ぺい率
敷地面積に対する建築面積の比率です。
建築面積とは建物を真上から見たときの面積で、階層ごとに床面積が違う場合は一番広い階の床面積が該当します。
■建ぺい率(%)=建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
例えば、160㎡の敷地に建築面積80㎡の家を建てた場合、建ぺい率は「80 ÷ 160 × 100=50」で、50%となります。
容積率
敷地面積に対する延床面積の比率です。
延床面積とは全ての階の床面積の合計で、容積率によって何階建ての建物が建てられるかが決まります。
■容積率(%)=延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100
160㎡の敷地に、1階80㎡、2階40㎡の家を建てた場合、容積率は「(80+40) ÷ 160 × 100=75」で、75%となります。
建ぺい率・容積率は建築基準法で定められており、これらの基準を満たさない家は違法建築物となり、建てることができません。
建ぺい率と容積率の用途地域別の上限
建ぺい率と容積率の上限「用途地域」によって定められ、さらには自治体や地域ごとに異なります。
用途地域とは、都市計画法に基づいてその地域の使い道や建てられる建物を定めたものです。
【用途地域ごとの建ぺい率・容積率の上限】
用途地域 | 建ぺい率(%) | 容積率(%) | |
住宅系 | 第一種低層住居専用地域 | 30、40、50、60 | 50、60、80、100、150、200 |
第二種低層住居専用地域 | |||
田園住居地域 | |||
第一種中高層住居専用地域 | 100、150、200、300、400、500 | ||
第二種中高層住居専用地域 | |||
第一種住居専用地域 | 50、60、80 | ||
第二種住居専用地域 | |||
準住居地域 | |||
商業系 | 近隣商業地域 | 60、80 | |
商業地域 | 80 | 200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300 | |
工業系 | 準工業地域 | 50、60、80 | 100、150、200、300、400、500 |
工業地域 | 50、60 | 100、150、200、300、400 | |
工業専用地域 | 30、40、50、60(住宅の建築不可) |
※参考:e-GOV 法令検索 建築基準法 第52条・第53条
なお、敷地の前面道路の幅員が12m未満の場合、容積率は指定容積率から4/10または6/10になります。
建築を検討している地域の用途地域や建ぺい率・容積率については、自治体に問い合わせるほか、自治体のホームページなどで確認できるケースもあります。
不動産会社でも把握しているはずなので、確認してみましょう。
建ぺい率と容積率が緩和される条件
同じ広さの敷地でも、建ぺい率・容積率が大きいほど大きな家を建てることができます。
また、特定の条件を満たすと建ぺい率・容積率が緩和されるケースがあるので、こちらもぜひ知っておきましょう。
建ぺい率の緩和
主に以下のような緩和条件があります。
- 防火地域に耐火建物を建てる場合(建ぺい率80%以外の地域のみ):10%緩和
- 角地(前面道路の幅員、角度、接する長さなど条件あり):10%緩和
- 防火地域・耐火建物・角地の3つの条件を満たす:20%緩和 など
容積率の緩和
一定の条件を満たした地下室、ロフト、ビルトインガレージなどは、建物の床面積の計算から除外されるため、その部分に関して結果的に容積率の緩和になります。
床面積の計算から除外されるものには、次のようなものがあります。
- 地下室で全床面積の1/3以下まで
- 高さ140cm以下のロフト・小屋裏収納で、直下の部屋の床面積の1/2以下まで
- ビルトインガレージで建物の床面積の1/5以下まで
- バルコニー、ベランダなどで建物の外壁から出ている部分が1m以下まで
小屋裏収納、ビルトインガレージのメリットや知っておきたいポイントをこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご覧くださいね。
小屋裏収納のメリット・デメリットは?知っておきたいポイントも確認!
ガレージハウスのメリット・デメリットは?後悔しないためのポイントもご紹介
なお、細かい条件は自治体などによって異なるケースがあるため、必ず確認してください。
また、建物を建てる際には、建ぺい率・容積率のほかにも建物の大きさに関わる制限があります。
代表的なものは、建物の高さ制限として斜線制限、日影規制、絶対高さ制限などがあり、これらにも違反しないよう注意が必要です。
建ぺい率・容積率は敷地に対する建物の大きさの制限
建ぺい率・容積率は、敷地面積に対する建築面積、延床面積の比率です。
建築基準法で定められ、日当たりや風通し、防災などを目的に、敷地に対して建てられる建物の大きさを制限しています。
計算式はそれぞれ、【建ぺい率(%)=建築面積 ÷ 敷地面積 × 100】【容積率(%)=延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100】。
自治体や地域ごと用途地域ごとに上限が定められていて、建ぺい率・容積率を満たしていない建物は違法建築物となり、建てることができません。
防火地域に耐火建物を建てる場合や角地で建ぺい率が緩和されるケース、地下室やロフト、ビルドインガレージなどで容積率が緩和されるケースもあるので、緩和要件を上手に取り入れたプランを検討してみてくださいね。
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