レトロな見た目と炎の揺らめきで癒される薪ストーブ。
近年、自宅の暖房器具として薪ストーブを設置したいという方が増えています。
今回のコラムでは、薪ストーブのメリットとデメリットをご紹介します。
薪ストーブは、一般的な暖房器具よりもどうしても手間がかかってしまうものです。
特徴や設置・維持に必要な費用なども事前に知ったうえで検討してくださいね。
目次
薪ストーブってどんな暖房器具? どんなメリットがある?
薪ストーブとは、薪を燃やしてその炎の熱で部屋を暖める暖房器具です。
鉄製で箱型の本体に扉が付いている密閉式が一般的ですが、扉のない開放型のものもあります。
炎の熱エネルギーは、遠赤外線として薪ストーブを中心に広がる輻射熱(ふくしゃねつ)で部屋全体を暖めます。
「熱風が直接当たるのが苦手」という方にも、心地よい暖房でしょう。
薪ストーブのメリット
薪ストーブにはこんなメリットがありますよ!
オシャレでレトロな見た目で、インテリア性が高い
薪ストーブといえば、ちょっとレトロな見た目がすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。
メーカーや製品によってさまざまなデザインのものがあるので、部屋の雰囲気に合うものを選ぶことができます。
暖房としてだけではなく、オシャレなインテリアとして部屋の印象アップができるでしょう。
揺れる炎をながめてリラックスできる
炎の揺らぎには癒しの効果があるといわれています。
薪ストーブの前に座り、炎の揺らぎや薪が燃える音を聞きながらゆっくり過ごす時間は最高のリラックスタイム。
静かに時間を過ごしたり、家族が集まってのんびりしたりと、思い思いの時間を過ごせるでしょう。
料理に使える
薪ストーブの熱や炎を上手に使って、部屋を暖めながら料理もできます。
薪ストーブの上に鍋を乗せれば長時間の煮込み料理もお手の物。
煮込み料理のお肉はとろけるように柔らかく、ピザやグリル料理はまるで石窯で焼いたかのようにパリッと仕上がります。
料理ができあがる様子を、リビングで時間を過ごしながら家族と一緒に見られるのも良いものです。
電気・ガスを使わないので暖房に光熱費がかからない
薪ストーブの燃料は薪ですから、薪さえ調達できれば、暖房に光熱費はかかりません。
薪を燃焼させて発生する二酸化炭素は、木材が成長したときに吸収した二酸化炭素と同量で、薪からの二酸化炭素排出量は長期的な視点ではゼロとみなすことができます。
光熱費がかからない上に、化石燃料の消費や二酸化炭素排出量も減らせるエコな暖房器具といえるでしょう。
また、地震や災害でライフラインがストップした場合でも、薪があれば暖をとれるので安心ですね。
暖炉やペレットストーブとはどう違う?
炎で部屋を暖める暖房器具には、薪ストーブのほかに暖炉やペレットストーブなどがあります。
暖炉は薪をくべる部分が壁に埋め込まれる形状で、レンガや石などで作られています。
扉はなく、暖炉から直接壁の中を煙突が通るので、室内に煙突はありません。
炎の熱の多くは煙突から直接外に出ていくので、暖炉の周りの空気を暖めるのが中心です。
また、ペレットストーブは薪ストーブと形状が似ていますが、木質ペレットを燃料とする暖房器具です。
ペレットストーブは煙突ではなく壁に横出しの排気筒を設けます。
薪ストーブよりも煙が少なく、薪の調達も不要なので手軽に使用できますよ。
着火や火力の調整を電力で行うタイプもあります。
薪ストーブのデメリットも知ろう
薪ストーブのデメリットは、初期費用が高いことと管理に手間がかかること。
費用についてはのちほどご紹介しますが、薪ストーブ本体、炉代、煙突などの購入・設置工事費用をすべて含めると100万円前後かかってしまうことも珍しくありません。
また、燃料となる薪は乾燥させながら保管するため広い保管場所が必要ですし、シーズンごとには煙突掃除や灰の片付けなどのメンテナンスも必要です。
火を付けてから暖かくなるまで時間がかかってしまうのも、エアコンやヒーターなどの暖房器具とは違うところでしょう。
ただし、こういった手間暇をかけるのも薪ストーブの楽しみ方のひとつ。
火を入れてから炎が大きくなるまでのんびりと炎をながめて過ごしたり、薪の調達や準備、薪ストーブのメンテナンスに季節を感じたりと、手間をかけるほどに愛着も湧きますよ。
薪ストーブ設置の費用目安もチェック!
薪ストーブを設置するには、ストーブ本体や炉代の設置のほか、煙突の設置工事が必要です。
ストーブ本体の価格はメーカーや商品によって異なりますが、手ごろなものだと5~10万円程度、使い勝手や機能性、見た目にこだわると20~70万円程度の予算が必要となることも多いようです。
炉台を含めた設置工事は5~40万円程度、煙突の設置工事は40~70万円程度の予算が必要となり、すべてを含めると初期費用として100万円前後かかることも珍しくありません。
また、ランニングコストとしては薪の調達費用と、薪ストーブや煙突のメンテナンス費用がかかります。
薪の必要量はライフスタイルやエリア、薪ストーブの使用時間によっても異なりますが、部屋を1日暖めるのに3束程度必要とすると、購入費用は1,000~1,500円程度。
1カ月だと3万~4万5,000円となり、なかなかの出費です。
メンテナンスとしては、年1回の煙突掃除は欠かせません。
煙突の形状によってはタールがたまりやすく、もっと頻繁にメンテナンスが必要となるケースもあるでしょう。
煙突掃除は自分でできる部分もありますが、専門業者へ依頼した場合は1回につき2~5万円程度が目安とされています。
薪ストーブを検討する前に知っておきたいポイント
薪ストーブは一度設置すると簡単に移動ができないので、設置場所についてはとくによく検討する必要があります。
薪ストーブは炎を中心にして部屋全体を暖めるので、リビングなどの家全体を暖められる場所に設置するのがおすすめ。
部屋の中心に設置するのが一番暖房効率は良いですが、生活導線なども踏まえたうえで設置場所を考えてみましょう。
さらに、薪ストーブには煙を逃がすための煙突も必須。
煙突から出る煙が近所迷惑にならないよう、設置場所や高さなどに注意をしてください。
屋根より高くするのが基本で、薪ストーブを1階に設置する場合は真っすぐ上に伸ばして2階の空間を通して屋根から出す「屋根出し」、壁を通して煙突を屋外に出してから上に立ち上げる「壁出し」の2つの方法があります。
どちらの方法にするかは、薪ストーブの設置場所とあわせて考えてみてください。
また、薪ストーブと気密性の兼ね合いにも注意が必要です。
薪ストーブの燃焼中は、煙突を通って煙が排出されドラフト(上昇気流)が起こります。
高気密の家の場合、煙突から出ていく空気よりも家の中に入ってくる空気が少なくなり、ドラフトが正常に起こらず、逆流してしまうケースがあるのです。
取り入れる空気を増やして逆流を防ぐには、薪ストーブの近くの窓を開けたり専用の自然給気口設けたりなどの対策がありますが、それではせっかくの高気密住宅のメリットをあまり感じられなくなってしまう可能性も。
気密性が高い住宅で薪ストーブを検討する場合は、ストーブに外気を直接導入できるタイプを選ぶなどの必要があるため、施工会社に必ず相談しましょう。
薪ストーブのある「FPの家」を新築したご家族の声をご紹介
薪ストーブのある「FPの家」を新築したお客様の事例をご紹介します。
薪ストーブの温もりが家中に広がる住まい
娘さんの小学校入学を機に、ご両親との将来を見据えて地元に家を建てられたご家族。
雪深くなる冬の環境の中で理想としていた薪ストーブのある家づくりを開始しました。
薪ストーブを使いやすい動線を意識してストーブの横に窓を配置、1階は間仕切りのない空間と吹き抜けにして、暖かさが家中を循環するように設計しました。
「「わが家」の感想」について聞かれた娘さんの応えは「暖かい家」とひと言。
薪ストーブの暖かさを実感しながら、日々過ごされているようでした。
薪ストーブはメリットとデメリットを知ってしっかり検討を
じんわりとゆっくり部屋を暖めてくれる薪ストーブ。
オシャレな見た目や、炎の揺らぎや薪が燃える音でリラックスできること、暖房に光熱費がかからないことなどがメリット。
薪ストーブのある暮らしに憧れている方も多いのではないでしょうか。
しかし、薪ストーブや煙突を設置するには100万円前後の費用がかかり、薪の調達やメンテナンスなどに手間や費用もかかります。
一般的な暖房器具よりも手間がかかることを踏まえ、検討してくださいね。
薪ストーブや煙突の設置場所も、慎重に考える必要があります。
とくに高い性能を有する住宅の場合は気密性との兼ね合いもありますので、まずは施工会社へ相談してみてくださいね。
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